診療実績 PERFORMANCE
内視鏡センターでは上部および下部消化管内視鏡室4室、X線透視下内視鏡1室となっております。内視鏡センターは診療部の一つとして独立しているが専従の医師はおらず、消化器内科医師を中心に検査・治療を担当しています。
消化器画像診断センターでは腹部超音波室4台、血管造影室にはコーンビームCT搭載した血管造影装置を配備しております。主な診療実績は表1に示します。
診療内容
消化器内科診療スタッフは、常勤医10名、非常勤医6名(2018年4月現在)で、診療にあたっております。当科は大きく消化管グループ、肝胆膵グループに分けられ、専門性の高い診療を患者さんに提供できるようにしています。
内視鏡センターでは、緊急の場合を除き、待ち時間は2週間程度で対応しているのが現状です。内視鏡専門医が、短時間で精度の高い検査を実施し、早期発見・早期治療に努めています。また、医療連携にも力を入れており、治療内視鏡も紹介受診から2週間以内に入院加療が可能な体制ができております。当院は二次救急指定病院であり、消化管出血に対する緊急内視鏡症例に対応しており、救急診療科との連携のもと、時には気管挿管下での迅速な止血処置なども行っています。胆膵領域では、悪性胆道狭窄に対する内視鏡的ステント留置術を積極的に行っており、地域有数の胆道ステント症例を有しています。
特色・取り組み
大腸内視鏡治療、特に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について
当院での大腸検査は正確な拡大内視鏡診断に基づいて、ESDとEMR(内視鏡的粘膜切除術)の適応を見極め、最適な治療法を選択するよう心がけています。大腸ESDは 2010年4月より先進医療として認可され。当院消化器内科において下部消化管内視鏡治療の総数は年平均で1000例を超えておりそのうちESDの件数は昨年まで年間20~30例程度であり、目立った合併症はなく安全に行えております。治療は他分野の医師を交え合併症のリスクを十分考慮し,経験豊富な医師のもと行っております。今後大腸癌の割合が次第に増加してくることが予想されており、より安全な治療を心がけていきます。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患領域では、現在潰瘍性大腸炎で約200例、クローン病で約20例の方が定期通院されています。外来においては当院独自の“症状アンケート”を用い、症状変化に早期対応できるよう心がけています。重症度に応じて5ASA、PSL加療をはじめとし、CAP療法や抗体医薬品等を用いた治療を行っています。
EUS(超音波内視鏡)
腹壁超音波では観察困難な臓器に対して、体腔内から観察することで病変に対し、小病変に対してもより詳細な評価を行うことが可能です。当院では、EUSによる診断に加え、EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺術)を積極的に導入しており、特に膵疾患における癌やその他の疾患の鑑別、消化管粘膜下病変に対して良悪性の確定診断を行うことで、疾患に対して適切な取り扱いを行っています。対象臓器も膵、消化管だけでなく、リンパ節などの腹腔臓器に対しても評価できるようになりました。さらに昨今、EUS下治療などの普及に伴い、症例に応じて超音波内視鏡下肝胃吻合術(EUS-HGS)などを導入しています。
肝疾患診療
肝疾患ではウイルス性肝炎、肝癌、門脈圧亢進症に特に力を入れています。肝癌治療においては、複数本同時穿刺可能なマルチポーラRFAと、術前CT/MRI画像を用いたナビゲーション・シミュレーション可能な最新型超音波機器の両者を用いた治療を行っております。またRFA治療効果判定として、CTのみならず我々が報告したMRIを用いた焼灼マージン評価法(Hepatol Res 2011)も加えるなど、精度の高い効果判定を行っています。 肝動脈化学塞栓療法に関しては、大型肝癌を中心に球状塞栓物質(ビーズ)を用いた肝動脈化学塞栓療法を積極的に行っています。
研究
当科は「薬物治療の安全性、個別化治療」に力を注いでおり、この5年間で施行済み、施行中の薬物動態解析は シスプラチン、シメプレビル、ダクラタスビル、アスナプレビル、パリタプレビル、トルバプタン、ナルフィラフィン、ナブパクリタキセル、レンバチニブと多岐に渡ります。特にC型肝炎直接作用型抗ウイルス剤による高ビリルビン血症の発現をGd-EOB-DTPA MRI画像から予測するという新手法を報告しております(J Clin Pharmacol 2017, PLoS One 2018). また、胃癌に対するESD治療では、症例蓄積の結果から病変部位別の治療成績を報告しており(Gastroenterol Res Pract.2016)、臨床・研究両面での発展を目指しております。
【表1】
診療実績 | 2017年度 (例) |
---|---|
上部消化管内視鏡 | 3,323 |
下部消化管内視鏡 | 2,759 |
上部処置内視鏡 | 83 |
下部処置内視鏡 | 1,243 |
ERCP関連手技 | 317 |
ラジオ波焼灼術 | 68 |
肝動脈塞栓術 | 122 |